SUPER HAPPY FOREVER
人と飲んでいる時にぽそっと「小旅行に行きたいな、静岡とか」みたいなことを言ったら、「SUPER HAPPY FOREVERじゃん」と言われた。
なんだそれ、と思ったら映画のタイトルらしい。調べてみたら、なんとなく見たことある画像だった。
行ってみたかった映画館で上映していたので、別日で仕事終わりに観に行った。
映画の中盤で涙が止まらなくなったが、全然そんなシーンでもない気がする。自分が何に心を揺らされて泣いているのかがわからず、困惑しながら見ていた。疲れているのかな、とも思った。
趣味が特別合うわけでもない登場人物の二人が、ふとした時に同じ方向に目を向けて同じ感情や思考を抱くことの描かれ方が、妙にリアルで私も似たような感覚のことを思い出していた。
一人で観に行ったので、早く誰かとこの話を直接したかったが、対面で会う人に限って誰も観ていなかった。そして日が経つごとに、この映画に対する感情が大きくなっていて、じっとしていられないようなもどかしさを抱えていた。
数週間後、冒頭で書いた人と飲みに行くことになり、感想や考えたことを伝えた。口から言葉がポロポロ出てきた。
3軒目に入ったカフェ&バーである程度酔っ払いながらゆったり飲んでいたら、その映画で使われていた『Beyond the Sea』のアレンジがBGMで流れてきて本当に驚いた。
「SUPER HAPPY FOREVERだ……!」と顔を見合わせて、二人で天井を見上げていた。
まさに劇中で描かれていたような、「同じ方向にパッと興味が行って同じ感情を持つこと」がその場で起こり、少し狼狽して目頭が熱くなった。
そんなこともありもう一度観たいと思っていたら、トークショー&サイン会付きの回があったのですぐにチケットを取って観に行った。
2回目は1回目の答え合わせのような感覚があり脳がクリアになっていったが、しっかり顔がびしょびしょになった。
その後トークショーを聞いた。山本奈衣瑠さんの「悲しみを通してでしか見えない幸せもある」という言葉が非常に腹落ちした。
そしてパンフレットを買ってサイン会に並んだ。同行者はシナリオブックも買っていた。2回目にもかかわらず、なんだか余韻がすごくてぽけーとしてしまい、何を話せば良いかわからなくなって、浮かんだ言葉をただただ伝えることになった。パンフレットは今後も本当に大事な宝物になると思う。
映画館を後にして、ふと変なことを思い出した。その時持っていたトートバッグは香港に行った時に買った、中国皇帝と若者がサングラスをかけてスケボーをしている変だけど愛らしいデザインのものだった。
そのトートを、昔熱海に行った時に忘れかけたことがある。
劇中では、主人公の妻がなくした赤のキャップを探すことが一個軸となっている。
私も熱海で温泉卵が作れる小さな湧き出るタイプの温泉に、着替えが全部入った状態のそのトートを忘れていったことがあった。宿に戻ったらリュック以外に畳に置くものがなくて血の気が引いた。
温泉卵を作るときにその辺に置いたのか、と慌てて戻るも、トートはない。
慌てて近隣の酒屋に聞いても心当たりがないという。
酒屋から出てしょぼくれながら温泉から去ろうとすると、氷結を持ったおじさんが立っていた。「熱海にも氷結を飲みながら歩く人はいるのか」なんて変なことを考えていると、その人の脇から中国皇帝が見えた。目を疑い、慌てて走って話しかけた。こんな辺なトートバッグが他の人と被るわけがない。
その人は「これ忘れ物だよな!?荷物がたくさん入ってそうだったから大丈夫かと思って、持ち主をこの辺で探してたんだけど見つからなくて、ちょうど今戻ってきたんだよ。うわ〜〜〜良かったなあ本当に!」と喜んだ声で話してくれた。
そんなことを思い出して、あるシーンと自分が被って変な気持ちになった。
変な脱線をしてしまったが、暖かくなったらハトヤホテルに行こうと思う。
できれば8/19に休みを取って。
喫茶片想い
片想いのことは、ダウ90000がテレ朝のイベントで演奏してちゃんと知った。神保町の喫茶さぼうるでイベントをやるらしい。こんな素敵なイベント、行くしかないということで、人と訪れた。
列ができていたので並ぶと、少し前にSUPER HAPPY FOREVERのキャップを被っている人がいた。中に入ってドリンク待ちの時にその人が前にいた。うっかり話しかけそうになった。
ホットコーヒーを飲んで弾き語りを聴いた。店が混んでいたので一杯飲んですぐ店を出たのだが、驚くべきこともあった(ここには記載しない)。
別の喫茶店を挟み、もう一度さぼうるに入ったら突然「カニエさんですか?」と演者の方に言われた。突然のことに混乱したが、そのまま手を引かれてステージの方に気がついたらいた。流れはわからないけど、"カニエ・ウェスト"ということにされていたっ
ぽい。
でも、「カニエ・ウェスト……?蟹江さんという関係者がいたりするのか……?」と頭の中を考えが巡り、「え!?えっ……!?」ということしかできなかった。なぜかカニエとして一緒に自撮りもした。
その後、地下で片想いのライブがあった。ライブは初めてだったのだが、楽器がたくさんある音楽は良いなと思った。
好きな曲がたくさん演奏されて嬉しかったのだが、「いとしいな」という曲が本当に心に刺さった。この曲ってカバーだよな?と思い、喫茶店を後にしてSoundHoundで鼻歌で検索したらスティービー・ワンダーが出てきて二人で驚いて笑った。
焚火と冷麺
稲毛に美味しい冷麺があるということを教えてもらい、その人と行ってみることにした。
ただ、せっかく稲毛に行くなら他に何かできないかと調べていたら、海で焚き火ができるイベントがあったので申し込んでみた。終電に近い時間に新木場から家に帰るときに乗り過ごして稲毛海岸まで行ってしまい、海で夜を明かすことになったらどうしよう、と変な絶望を覚えたことがあったので、払拭したかった。
焚き火が好きなのに2年ほどキャンプに行けていない、そして時間帯的に夕日も見れそうなのでついでの焚き火ではあるがワクワクしながら向かった。
駅に少し早く着いてしまい、ホームの待合室でぼーっとしていたら、強い日差しが入ってきて眩しかった。でも強いのに綺麗で少し心地よくて、そんな時にApple Musicのシャッフルで虎に翼の『You are so amazing』が流れてきて目に涙が溜まりそうになった。
合流してコンビニでビールを買い、会場に向かった。稲毛海浜公園に着いたものの、会場がどこなのかわからない、「桟橋が目印」と買いてあったので桟橋を目指したら全然違う桟橋だったらしく、めちゃめちゃ迷った。
でもその間に、ヨットや別の桟橋やたくさんの犬猫や水門を見ることができて、なんだか楽しかった。
会場に無事に辿り着き、焚き火台と椅子を設置する。幸いにもその日は雲ひとつない快晴で、ちょうど日が落ちかけてオレンジの空の中に富士山が見えた。
富士山の魅力は昔全くわからなかったが、今はとても美しいと感じるようになった。
日が落ちて星や夜景も見え始めた。それでもまだ上着はいらない気温。サッポロ「冬物語」のビールが沁み渡る。
あまりにも美しい光景で、この日からしばらく経っても頭に焼き付いている。
「星座表」というアプリを使ってそこにある星がなんの星なのか調べていたら、夏の大三角形だった。もう冬なのに。でも見る場所を変えたらカシオペヤ座もあったし、知らない長方形の星座も見つけることができてだいぶ嬉しかった。昔DSの「おいでよどうぶつの森」で星座を作れるコンテンツがあって全くやらなかったものの、今はしっかりそれで遊んでみたい。
焚き火は他の人たちよりもなかなか燃焼が弱く、すぐ火が消えそうだった。同行者は「松を取ってくる」と定期的に茂みに入って松の葉や松ぼっくりを抱えてきてくれて、なんだかその姿が面白かった。松を薪の下に焚べて火力が強くなったものの、事故かと思うくらいのとんでもない量の煙が出た。
それでも途中調子を掴んで適度に燃やすことができた。薪の量が少なかったので、今度久々にキャンプ場で多めの薪で焚き火をしようと思う。
焚き火を終えて、お目当てのご飯屋さんへ向かう。バスに乗っていろいろ話していたら、話に夢中になりすぎて終電まで乗り過ごしてしまった。
慌ててタクシーを捕まえて目的地を言うものの、「ナビがねえから細かい住所を言われてもわかんねえんだけど、どこに行くんだ?」と言われる。「韓国料理屋ならあそこだな」と運転を開始するも、一応不安で開いたナビからどんどん離れていく。外国のタクシーに乗っているような独特な緊張感がありながらも、自分たちでナビをして無事お店に着いた。
ここまでの一連のことすべて、なんだかSUPER HAPPY FOREVERみたいだった。
目当ての店は「ソルヌン」という平壌冷麺が人気のお店で、脱北した方がオープンした平壌冷麺店の2号店である。
1号店は韓国の江南にあり、旅行中に行こうと思ったが遠くて行けず、稲毛に行くことにした。
平壌冷麺とキムチとデジカルビと牛ポッサムを頼んだ。
私は普段から夏バテしている時くらいしか冷麺を食べないのだが、あまりにも美味しかった。出汁が利いててスルスルと体に入っていく。水筒に入れて持ち歩きたいくらいだった。
豚ポッサムはよく食べるが牛ポッサムは初めて食べた。ネギが入ったつけだれにつけて、ネギを包んでいただく。あっさりしていて、満腹でも食べれる。
平壌冷麺は特にもう一度食べたい。夏に食べに行きたい。稲毛に行くことなんてないのに、と思っていたが、来年も行くことになりそうだ。
本当は『団地のふたり』のこととか、もっと書きたいことがあったけど、SUPER HAPPY FOREVER繋がり(?)のことを書いた。
何度でも観たい映画だなー。